6月から行政書士会主催の成年後見制度の研修会を受けて来ました。
その中で講師の先生方より何度も言われたのが「本人の意思決定支援」の重要性でした。
つまり、成年後見制度は本人のためにあるのであって、決して本人の周りの人達のためにあるのではないということを学んできました。
ところが…。
現実的にはそこには大きなギャップがあるように思います。
まず、私が法律事務所でみてきた成年後見のほとんどは、本人が認知症になってしまった後に、判断能力がないことから周りの方々(家族など)が法的な手続(施設入所や財産管理、銀行預金の払戻など)で困ってしまい…というケースがほとんどでした。
確かに、その目的の中には「ご本人のその後のために」というものもあるのですが。
ほとんどの方は、まさか自分が認知症になるとは思ってはいないでしょうから、そうなる前に(つまり、ご本人に十分な意思能力がる時)どれだけご本人が周りの方々との間で「自分の希望」「思い」といったものや、ご自身の思い描く老後の生活などといったものを話し合えてきただろうかということを思ってしまいます。(これは自分の経験も踏まえて)
もちろん、成年後見が開始された後(ご本人が認知症などになられた後)でも、ご本人の望む意思を汲み取り、または推察していくことはできるとは思いますが、それがどこまでご本人の意思に添えているのか、またその意思をどれだけ叶えられているのかはなかなか計り知れないのではないでしょうか。
…などということを思いながら研修を受けて来ました。
こんな小さな疑問やひっかかりをもった中で、改めて今の制度を考えると。
1)元気なうちに、「もし万が一…」の場合の希望や意思を残しておく。
2)もしものときに自分の意思を託すことができる方にお願いをしておく。(任意後見制度など)
これらのことの重要性を改めて考えさせられた研修でした。